屋外広告士に必要な屋外広告知識をまとめました。
問1
下図のように断面積$A$,ヤング係数$E$,長さ$\mathit{l}$の棒に引張力$N$が作用した場合の伸び$\Delta \mathit{l}$を軸方向の歪度$\varepsilon$,断面の垂直応力度$\sigma$の基本的な関係から求めた値として、正しいものはどれか。
$\varepsilon = \frac{\sigma}{E}, \quad \sigma=\frac{N}{A}, \quad \therefore \Delta \mathit{l} = \varepsilon \mathit{l} = \frac{\sigma}{E} \mathit{l}=\frac{N}{AE} \mathit{l}$
公式暗記!
$伸び=\frac{引張力}{断面積 \times ヤング率}\times 長さ$
↓
$\Delta \mathit{l}=\frac{N}{AE}\mathit{l}$
問2
下図のような荷重を受けるトラスにおいて、部材Aに生じる軸方向力として、正しいものはどれか。ただし、軸方向力は、引張力を「+」、圧縮力を「-」とする。
1.-40kN
2. 0kN
3.+20kN
4.+40kN
4.+40kN
$\Sigma Y=0$より、$N_A - 40 =0$、よって$N_A =40kN$
問3
コンクリートおよび鉄筋に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
1.同じ種類のセメントを用いた場合は、その粒子が小さいものほど、コンクリートの初期強度の発現が早くなる。
2.鉄筋のヤング係数は、強度が2倍になると2倍になる。
3.コンクリートのヤング係数は、強度が2倍になっても2倍にはならない。
4.鉄筋とコンクリートの線膨張係数は、ほぼ同じであり、温度変化に対するそれぞれの伸縮量は変わらない。
1.その通り。設計・施工P45
2.鉄筋のヤング係数は強度に関係なくほぼ一定($2.05 \times 10^5 N/mm^2$)。
3.コンクリートのヤング率は$F_c$が大きいほど大きくなるが$F_c$に対して$\frac{1}{3}$。設計・施工P45
コンクリートのヤング係数
$\Large{E_c=3.35\times 10^4 \times (\frac{ \gamma}{24})^2 \times (\frac{F_c}{60})^{\frac{1}{3}}}$
$\gamma$: コンクリートの気乾単位体積重量($kN/m^3$)
$F_c$: 設計基準強度($N/mm^2$)
4.その通り。設計・施工P45
問4
材料に関する記述として、適切なものはどれか。
1.鋼材が腐食するのは、化学的な反応によるものである。
2.塩化ビニル、アクリル、ポリカーボネートなどの樹脂は、熱硬化性樹脂に区分される。
3.ガルバリウム鋼板は、アルミニウムとマグネシウムの合金めっき鋼板をいう。
4.製材はJAS(日本農林規格)、合板はJIS(日本工業規格)によって区分される。
1.正しい。鋼材が腐食するのは化学反応。
2.塩化ビニル、アクリル、ポリカーボネートは熱可塑性。設計・施工P46
3.ガルバニウムはアルミニウムと亜鉛合金のメッキ。設計・施工P42
4.合板もJAS規格。
問5
材料の性質に関する記述として、適切でないものはどれか。
1.アクリル樹脂には撥水性があるため、湿度による膨張収縮がない。
2.変成岩である大理石は、堆積岩である凝灰岩に比べて吸水率が低い。
3.鋼材は、炭素含有量が少ないほど靱性がある。
4.アルミニウムは、空気中の酸素と化合し、皮膜を作る。
1.アクリル樹脂には吸水による伸びという特殊な性質がある。
2.森田史朗「建築材料・施工」P31
3.設計・施工P42
4.設計・施工P43
問6
次の文の( )内に入る言葉の組み合わせとして、正しいものはどれか。
応力が小さい時は、応力度とひずみ度の関係は直線的な( a )関係に近く、弾性限度内にあれば、力を取り去ると変形も元にもどってひずみを残さない。この( a )関係の比率を( b )係数という。( b )係数が大きいほど変形は小さく( c )材料であるといえる。
(a)-(b)-(c)
1.比例 - 脆性 - 硬い
2.相関 - 塑性 - 軟らかい
3.相関 - 脆性 - 軟らかい
4.比例 - 弾性 - 硬い
4.比例 - 弾性 - 硬い 設計・施工P50
問7
屋外広告物の構造設計をする際に考慮する外力に関して、次の記述のうち、適切でないものはどれか。
1.風速が2倍になると、広告板面が受ける風圧力も2倍になる。
2.平均風速の高さ方向の分布を表わす係数は、地表面粗度区分I(極めて平坦で障害物がない区域)とIV(都市化が極めて著しい区域)では、Iの方が大きくなる。
3.ガスト影響係数は、地表面粗度区分I(極めて平坦で障害物がない区域)とIV(都市化が極めて著しい区域)では、IVの方が大きくなる。
4.速度圧は、同一建物では、高さに関係なく一定である。
1. 風速が2倍になると、広告板面が受ける風圧力は4倍になる。
風圧力は、速度圧 $\times$見つけ面積
速度圧は風速の2乗に比例
$q=0.6 \cdot E \cdot V_0^2$
2.平均風速の高さ方向の分布を表わす係数$E_r$
$E_r=地表面粗度区分I \gt IV$
3.ガスト影響係数$G_f$
$G_f=地表面粗度区分IV \gt I$
4.その通り。設計・施工P74
問8
屋外広告物の設計に関する記述として、適切でないものはどれか。
1.屋外広告物を構成する材料は、長い年月の間、屋外で風雨にさらされるため、高耐久性を維持しなければならない。
2.一般に、広告物に作用する力のうち、地震力は広告物の重量により、風圧力は広告物の形態や見付面積に応じて変化する。
3.設計図書とは、広告物の製作、施工の実施に必要な設計図および仕様書をいうが、構造計算書も含まれる。
4.建築物の屋上等の高所に設けられる広告物は、公衆に対する危害防止のため構造計算によって、安全を確かめなければならない。
1.その通り。設計・施工P169
2.その通り。設計・施工P66
3.設計図書は構造物の形状・施工に関する図書類。構造計算書は含まない。設計・施工P11
4.その通り。設計・施工P12
問9
ボルト・高力ボルト接合に関する記述として、適切でないものはどれか。
1.一つの板要素の接合部に高力ボルトとボルトを併用する場合には、それぞれに応力を分担させることができる。
2.トルシア形高力ボルトの本締めは、トルシア形高力ボルト専用の締付け機を用いて行い、ピンテールが破断するまでナットを締付ける。
3.高力ボルト摩擦接合は、高力ボルトで継手部材を締付け、部材間に生じる摩擦力によって応力を伝達する接合法である。
4.一度使用した溶融亜鉛メッキ高力ボルトは、再使用してはならない。
1.高力ボルト・通常ボルトの併用は、全ての応力を高力ボルトに負担させる。
問10
溶接に関する記述として、適切でないものはどれか。
1.接合しようとする母材間の角度が60°以下または120°以上である場合におけるすみ肉溶接には応力を負担させてはならない。ただし、鋼管の分岐継手の場合は、前記の角度を30°以下または150°以上にすることができる。
2.すみ肉溶接の端部は、滑らかに回し溶接を行う。
3.応力を伝達するすみ肉溶接の有効長さは、すみ肉のサイズの5倍以上で、かつ、30㎜以上とすることを原則とする。
4.完全溶込み溶接は、突き合わせる部材の全断面が完全に溶接されなければならない。
3.応力を伝達するすみ肉溶接の有効長さは、すみ肉のサイズの10倍以上で、かつ、40㎜以上。
問11
現場の安全管理に関する記述として、適切でないものはどれか。
1.屋外足場等での上下作業は、上部からの落下が予測されるので、できるだけ避けなければならない。
2.取付け作業中の部品の落下防止等の確認作業は、工事直前ではなく工事中に確実に行うことが必要である。
3.労働者は、労働災害を防止するため必要な事項を守るほか、事業者その他の関係者が実施する労働災害の防止に関する措置に協力するように努めなければならない。
4.作業のため物体が落下することにより、労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、防網の設備を設け、立入区域を設定する等、当該危険を防止するための措置を講じなければならない。
2.工事前に調査と準備が必要。設計・施工P208
問12
鉄骨構造に関する記述として、適切でないものはどれか。
1.鉄骨構造の特長の一つは、加工や小さな組立てまで工場製作ができるので、現場での施工が簡略化されることである。
2.軸方向力を受ける材の重心軸と、材端接合ボルト、高力ボルトおよび溶接の継目群などの重心軸とはなるべく一致させるよう設計する。
3.施工者は、設計図書に基づいて設計仕様を正しく織り込んだ工作図を鉄骨製作業者に作成させ、施工性や構造細部の納まりを確認したのち、工事監理者の承認を受ける。
4.ボルト、アンカーボルト、鉄筋貫通孔はドリルあけを原則とするが、板厚が16㎜以下のときは、せん断孔あけとすることができる。
1.設計・施工P169
4.せん断穴あけ可能なのは板厚13mm以下・16φ以上。
問13
図のような鋼製フレームに、C点に曲げ応力が1.20kNm、鉛直方向に0.60kNの荷重が作用した場合の、回転端Aにおける鉛直方向の反力VA、水平方向の反力HA、移動端Bにおける鉛直方向の反力VBの大きさの組み合わせとして、正しいものはどれか。
(VA) (HA) (VB)
1.0.58 kN 0.00 kN 1.08 kN
2.0.12 kN 0.00 kN 0.48 kN
3.0.12 kN 0.60 kN 0.48 kN
4.0.58 kN 0.60 kN 1.08 kN
2.0.12 kN 0.00 kN 0.48 kN
$1.20kNm + (0.60kN \times 2.0m)=VB \times (2.0m + 3.0m)$
$\therefore VB=\frac{1.20kNm + 1.20kNm}{5.0m}=0.48kN$
鉛直方向の釣合$\Sigma Y=0$より、
$0.60kN=VA+VB=VA+0.48kN$
水平方向の釣合$\Sigma X=0$より、
$HA=0.00kN$
問14
図のような屋上広告塔に風圧荷重が看板高さの中心に作用した場合、基礎の天端1箇所に生ずる引抜き力「T」の値として、正しいものはどれか。ただし、広告物の重量および柱脚の風圧は考えなくてよい。
1. 8.10 kN
2. 9.00 kN
3.10.80 kN
4.12.96 kN
3.10.80 kN
水平力$H$
$H=看板横幅 \times 看板高さ \times (風圧力 = 速度圧q \quad \times \quad 風圧係数CF )$
$H=4.00 \times 3.00m \times (1.20kN/m^2 \times 1.2 )=17.28kN$
鉛直力$T$
$T=\frac{看板水平力 \quad \times \quad 看板中心から基礎天距離} {1個 \quad \times \quad 柱最短距離 }$
$T=\frac{17.28kN \times 2.50m} {2個 \times \quad 2.00m }=10.80kN$
問15
図のような突出広告板全体に風圧時の曲げモーメントM=15.0kNmが作用した場合に選択するアンカーボルトとして、正しいものはどれか。ただし、看板の重量及び風荷重によるせん断力は考えないものとする。なお、アンカーボルトの短期許容応力度は、23.50$kN/cm^2$とする
2. $M12$ $(0.58cm^2)$
引抜力$T$
$T=曲げ力 \quad \div \quad (2 \times ピッチ)$
$T=15.0kN \quad \div \quad (2 \times 0.15m)=50.00kN$
必要断面積$A$
$引抜力 \quad \div \quad 許容応力度$
$50.00kN \div 23.50kN/cm^2=2.13cm^2 \lt M20 \quad (2.45cm^2)$