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景観法 第一節 景観地区
第一款 景観地区に関する都市計画
第六十一条 市町村は、都市計画区域又は準都市計画区域内の土地の区域については、市街地の良好な景観の形成を図るため、都市計画に、景観地区を定めることができる。
2 景観地区に関する都市計画には、都市計画法第八条第三項第一号及び第三号に掲げる事項のほか、第一号に掲げる事項を定めるとともに、第二号から第四号までに掲げる事項のうち必要なものを定めるものとする。この場合において、これらに相当する事項が定められた景観計画に係る景観計画区域内においては、当該都市計画は、当該景観計画による良好な景観の形成に支障がないように定めるものとする。
一 建築物の形態意匠の制限
二 建築物の高さの最高限度又は最低限度
三 壁面の位置の制限
四 建築物の敷地面積の最低限度第二款 建築物の形態意匠の制限
(建築物の形態意匠の制限)
第六十二条 景観地区内の建築物の形態意匠は、都市計画に定められた建築物の形態意匠の制限に適合するものでなければならない。ただし、政令で定める他の法令の規定により義務付けられた建築物又はその部分の形態意匠にあっては、この限りでない。(計画の認定)
第六十三条 景観地区内において建築物の建築等をしようとする者は、あらかじめ、その計画が、前条の規定に適合するものであることについて、申請書を提出して市町村長の認定を受けなければならない。当該認定を受けた建築物の計画を変更して建築等をしようとする場合も、同様とする。
2 市町村長は、前項の申請書を受理した場合においては、その受理した日から三十日以内に、申請に係る建築物の計画が前条の規定に適合するかどうかを審査し、審査の結果に基づいて当該規定に適合するものと認めたときは、当該申請者に認定証を交付しなければならない。
3 市町村長は、前項の規定により審査をした場合において、申請に係る建築物の計画が前条の規定に適合しないものと認めたとき、又は当該申請書の記載によっては当該規定に適合するかどうかを決定することができない正当な理由があるときは、その旨及びその理由を記載した通知書を同項の期間内に当該申請者に交付しなければならない。
4 第二項の認定証の交付を受けた後でなければ、同項の建築物の建築等の工事(根切り工事その他の政令で定める工事を除く。第百二条第三号において同じ。)は、することができない。
5 第一項の申請書、第二項の認定証及び第三項の通知書の様式は、国土交通省令で定める。(違反建築物に対する措置)
第六十四条 市町村長は、第六十二条の規定に違反した建築物があるときは、建築等工事主(建築物の建築等をする者をいう。以下同じ。)、当該建築物の建築等の工事の請負人(請負工事の下請人を含む。以下この章において同じ。)若しくは現場管理者又は当該建築物の所有者、管理者若しくは占有者に対し、当該建築物に係る工事の施工の停止を命じ、又は相当の期限を定めて当該建築物の改築、修繕、模様替、色彩の変更その他当該規定の違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。
2 市町村長は、前項の規定による処分をした場合においては、標識の設置その他国土交通省令で定める方法により、その旨を公示しなければならない。
3 前項の標識は、第一項の規定による処分に係る建築物又はその敷地内に設置することができる。この場合においては、同項の規定による処分に係る建築物又はその敷地の所有者、管理者又は占有者は、当該標識の設置を拒み、又は妨げてはならない。
4 第一項の規定により必要な措置を命じようとする場合において、過失がなくてその措置を命ぜられるべき者を確知することができず、かつ、その違反を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、市町村長は、その者の負担において、その措置を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任した者に行わせることができる。この場合においては、相当の期限を定めて、その措置を行うべき旨及びその期限までにその措置を行わないときは、市町村長又はその命じた者若しくは委任した者がその措置を行うべき旨をあらかじめ公告しなければならない。
5 前項の措置を行おうとする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があった場合においては、これを提示しなければならない。(違反建築物の設計者等に対する措置)
第六十五条 市町村長は、前条第一項の規定による処分をした場合においては、国土交通省令で定めるところにより、当該処分に係る建築物の設計者、工事監理者(建築士法 (昭和二十五年法律第二百二号)第二条第八項 に規定する工事監理をする者をいう。以下同じ。)若しくは工事の請負人又は当該建築物について宅地建物取引業(宅地建物取引業法 (昭和二十七年法律第百七十六号)第二条第二号 に規定する宅地建物取引業をいう。以下同じ。)に係る取引をした宅地建物取引業者(同条第三号 に規定する宅地建物取引業者をいう。以下同じ。)の氏名又は名称及び住所その他国土交通省令で定める事項を、建築士法 、建設業法 (昭和二十四年法律第百号)又は宅地建物取引業法 の定めるところによりこれらの者を監督する国土交通大臣又は都道府県知事に通知しなければならない。
2 国土交通大臣又は都道府県知事は、前項の規定による通知を受けた場合においては、遅滞なく、当該通知に係る者について、建築士法、建設業法又は宅地建物取引業法による業務の停止の処分その他必要な措置を講ずるものとし、その結果を同項の規定による通知をした市町村長に通知しなければならない。(国又は地方公共団体の建築物に対する認定等に関する手続の特例)
第六十六条 国又は地方公共団体の建築物については、第六十三条から前条までの規定は適用せず、次項から第五項までに定めるところによる。
2 景観地区内の建築物の建築等をしようとする者が国の機関又は地方公共団体(以下この条において「国の機関等」という。)である場合においては、当該国の機関等は、当該工事に着手する前に、その計画を市町村長に通知しなければならない。
3 市町村長は、前項の通知を受けた場合においては、当該通知を受けた日から三十日以内に、当該通知に係る建築物の計画が第六十二条の規定に適合するかどうかを審査し、審査の結果に基づいて、当該規定に適合するものと認めたときにあっては当該通知をした国の機関等に対して認定証を交付し、当該規定に適合しないものと認めたとき、又は当該規定に適合するかどうかを決定することができない正当な理由があるときにあってはその旨及びその理由を記載した通知書を当該通知をした国の機関等に対して交付しなければならない。
4 第二項の通知に係る建築物の建築等の工事(根切り工事その他の政令で定める工事を除く。)は、前項の認定証の交付を受けた後でなければ、することができない。
5 市町村長は、国又は地方公共団体の建築物が第六十二条の規定に違反すると認める場合においては、直ちに、その旨を当該建築物を管理する国の機関等に通知し、第六十四条第一項に規定する必要な措置をとるべきことを要請しなければならない。(条例との関係)
第六十七条 第六十三条第二項及び前条第三項の規定は、市町村が、これらの規定による認定の審査の手続について、これらの規定に反しない限り、条例で必要な規定を定めることを妨げるものではない。(工事現場における認定の表示等)
第六十八条 景観地区内の建築物の建築等の工事の施工者は、当該工事現場の見やすい場所に、国土交通省令で定めるところにより、建築等工事主、設計者(その者の責任において、設計図書を作成した者をいう。以下同じ。)、工事施工者(建築物に関する工事の請負人又は請負契約によらないで自らその工事をする者をいう。以下同じ。)及び工事の現場管理者の氏名又は名称並びに当該工事に係る計画について第六十三条第二項又は第六十六条第三項の規定による認定があった旨の表示をしなければならない。
2 景観地区内の建築物の建築等の工事の施工者は、当該工事に係る第六十三条第二項又は第六十六条第三項の規定による認定を受けた計画の写しを当該工事現場に備えて置かなければならない。(適用の除外)
第六十九条 第六十二条から前条までの規定は、次に掲げる建築物については、適用しない。
一 第十九条第一項の規定により景観重要建造物として指定された建築物
二 文化財保護法の規定により国宝、重要文化財、特別史跡名勝天然記念物又は史跡名勝天然記念物として指定され、又は仮指定された建築物
三 文化財保護法第百四十三条第一項の伝統的建造物群保存地区内にある建築物
四 第二号に掲げる建築物であったものの原形を再現する建築物で、市町村長がその原形の再現がやむを得ないと認めたもの
五 前各号に掲げるもののほか、良好な景観の形成に支障を及ぼすおそれが少ない建築物として市町村の条例で定めるもの
2 景観地区に関する都市計画が定められ、又は変更された際現に存する建築物又は現に建築等の工事中の建築物が、第六十二条の規定に適合しない場合又は同条の規定に適合しない部分を有する場合においては、当該建築物又はその部分に対しては、同条から前条までの規定は、適用しない。
3 前項の規定は、次の各号のいずれかに該当する建築物又はその部分に対しては、適用しない。
一 景観地区に関する都市計画の変更前に第六十二条の規定に違反している建築物又はその部分
二 景観地区に関する都市計画が定められ、又は変更された後に増築、改築又は移転の工事に着手した建築物
三 景観地区に関する都市計画が定められ、又は変更された後に外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更の工事に着手した建築物の当該工事に係る部分(形態意匠の制限に適合しない建築物に対する措置)
第七十条 市町村長は、前条第二項の規定により第六十二条から第六十八条までの規定の適用を受けない建築物について、その形態意匠が景観地区における良好な景観の形成に著しく支障があると認める場合においては、当該市町村の議会の同意を得た場合に限り、当該建築物の所有者、管理者又は占有者に対して、相当の期限を定めて、当該建築物の改築、模様替、色彩の変更その他都市計画において定められた建築物の形態意匠の制限に適合するために必要な措置をとることを命ずることができる。この場合においては、市町村は、当該命令に基づく措置によって通常生ずべき損害を時価によって補償しなければならない。
2 前項の規定によって補償を受けることができる者は、その補償金額に不服がある場合においては、政令で定めるところにより、その決定の通知を受けた日から一月以内に土地収用法第九十四条第二項の規定による収用委員会の裁決を求めることができる。(報告及び立入検査)
第七十一条 市町村長は、この款の規定の施行に必要な限度において、政令で定めるところにより、建築物の所有者、管理者若しくは占有者、建築等工事主、設計者、工事監理者若しくは工事施工者に対し、建築物の建築等に関する工事の計画若しくは施工の状況に関し報告させ、又はその職員に、建築物の敷地若しくは工事現場に立ち入り、建築物、建築材料その他建築物に関する工事に関係がある物件を検査させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。第三款 工作物等の制限
(工作物の形態意匠等の制限)
第七十二条 市町村は、景観地区内の工作物について、政令で定める基準に従い、条例で、その形態意匠の制限、その高さの最高限度若しくは最低限度又は壁面後退区域(当該景観地区に関する都市計画において壁面の位置の制限が定められた場合における当該制限として定められた限度の線と敷地境界線との間の土地の区域をいう。第四項において同じ。)における工作物(土地に定着する工作物以外のものを含む。同項において同じ。)の設置の制限を定めることができる。この場合において、これらの制限に相当する事項が定められた景観計画に係る景観計画区域内においては、当該条例は、当該景観計画による良好な景観の形成に支障がないように定めるものとする。
2 前項前段の規定に基づく条例(以下「景観地区工作物制限条例」という。)で工作物の形態意匠の制限を定めたものには、第六十三条、第六十四条、第六十六条、第六十八条及び前条の規定の例により、当該条例の施行に必要な市町村長による計画の認定、違反工作物に対する違反是正のための措置その他の措置に関する規定を定めることができる。
3 前項の規定は、第六十三条第二項及び第六十六条第三項の規定の例により景観地区工作物制限条例に定めた市町村長の認定の審査の手続について、これらの規定に反しない限り、当該条例で必要な規定を定めることを妨げるものではない。
4 工作物の高さの最高限度若しくは最低限度又は壁面後退区域における工作物の設置の制限を定めた景観地区工作物制限条例には、第六十四条及び前条の規定の例により、当該条例の施行に必要な違反工作物に対する違反是正のための措置その他の措置に関する規定を定めることができる。
5 景観地区工作物制限条例には、市町村長は、当該条例の規定により第六十四条第一項の処分に相当する処分をしたときは、当該処分に係る工作物の工事の請負人の氏名又は名称及び住所その他国土交通省令で定める事項を、建設業法の定めるところにより当該請負人を監督する国土交通大臣又は都道府県知事に通知しなければならない旨を定めることができる。
6 国土交通大臣又は都道府県知事は、前項の規定に基づく景観地区工作物制限条例の規定により同項の通知を受けた場合においては、遅滞なく、当該通知に係る請負人について、建設業法による業務の停止の処分その他必要な措置を講ずるものとし、その結果を当該通知をした市町村長に通知しなければならない。(開発行為等の制限)
第七十三条 市町村は、景観地区内において、都市計画法第四条第十二項に規定する開発行為(次節において「開発行為」という。)その他政令で定める行為について、政令で定める基準に従い、条例で、良好な景観を形成するため必要な規制をすることができる。
2 都市計画法第五十一条の規定は、前項の規定に基づく条例の規定による処分に対する不服について準用する。
市町村は都市計画区域又は準都市計画区域内に景観地区を創設することができ、建築物・工作物の形態意匠(壁面位置、高さ、敷地面積)を制限できる。